遺言書は故人の生前最後の意思そのもの。
それゆえ相続手続きにおいては、遺言書が最優先されます。
遺言書に基づいた相続手続きは、亡くなった方がご自身で作成された「自筆証書遺言」に基づく場合と、公証役場で作成した「公正証書遺言」に基づく場合とで、進め方が異なります。
こちらでは、遺言書に基づいた相続手続きについてご説明いたします。
自筆証書遺言の検認と相続手続き
自筆証書遺言は、遺言者が自筆で作成した遺言書です。
この自筆証書遺言は、遺言者の死後に自室などから発見しても、その場で開封することはできません。
自筆証書遺言の開封のためには、家庭裁判所での「検認」手続きを経ることが法律上義務付けられており、検認を受けずに遺言書を開封してしまった場合には、5万円以下の過料が課せられる場合があります。
家庭裁判所での検認手続き
- 遺言書を発見したら、家庭裁判所へ検認の申立てを行いましょう。検認の申立ては、「遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」に行う必要があります。
たとえば、最後の住所地が京都府内であった方の検認の申立ては、京都家庭裁判所(京都市左京区ほか)で行わなければなりません。
京都家庭裁判所では、年に500件程度(令和3年度)の検認の申立てがなされています。同じ京都府内であっても、本庁ほか、4つの支局で管轄する地域が異なりますので、京都府内でお亡くなりになられた方の検認の申立ての際には、管轄支局の確認が必要です。 - 裁判所から通知された検認日に、家庭裁判所に赴き、検認に立ち会います。
検認の際には、裁判官が遺言書の内容や日付についての確認を行います。 - 検認が終了したら、その遺言書に基づいて、相続手続きを進めます。なお、検認とは、検認日における遺言書の内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防ぐために設けられた制度です。
ゆえに、提出された遺言書が有効であることが前提とされた手続きであり、遺言書の有効性を保証する手続きではありません。
ご自身で作成する自筆証書遺言であっても、法律で定める要件を満たさなければ、無効となってしまいます。自筆証書遺言を作成する場合であっても、専門家にチェックしてもらうことをおすすめいたします。
公正証書遺言に基づく手続き
公正証書遺言は、2名の証人の立ち合いの下、公証役場で公証人の記述によって作成される遺言書です。
自筆証書遺言と同様、作成時には法律が定める要件を満たす必要がありますが、法律に精通した公証人によって作成されるため、要件不備により遺言書が無効となるリスクが極めて低い作成方法です。
加えて、作成された遺言書の原本は公証役場で保管されますので、第三者による改ざん等のリスクが低く、相続人は全国の公証役場で遺言書の検索が可能なため、せっかく作成した遺言書を見つけてもらえないというリスクもありません。
公正証書遺言の作成時に立ち合いが必要な証人に特別な資格は不要です。
しかし、証人には、遺言内容という極めてプライベートな内容を保証してもらうことになります。
親しい関係にあっても、身近な方に遺言書の内容を明かすことに抵抗がある方も少なくありません。
遺言書の作成にあたっては、遺言書の作成をはじめとした生前対策に精通した専門家に証人をお願いするとともに、遺言書の内容についても相談されることがおすすめです。
京都相続遺言相談プラザでは、遺言書をはじめとした様々な生前対策に精通した専門家が在籍しています。遺言書の作成にご不安等ございましたら、お気軽にご相談ください。